FACULTY OF INTERNATIONAL STUDIES
国際学部NEWS

【茂木ゼミ】台湾での海外研修を実施しました

2024.02.01(木)
NEWS  
国際学部茂木創ゼミナール(以下「ゼミ」)は、2024年1月25日(木)から28日(日)の日程で、台湾での海外研修を行いました。 国際学部では例年、台湾での短期研修が行われております
国際学部茂木創ゼミナール(以下「ゼミ」)は、2024年1月25日(木)から28日(日)の日程で、台湾での海外研修を行いました。
国際学部では例年、台湾での短期研修が行われておりますが、本年度は中止となりました。しかし、今年は東アジア情勢に影響を与えかねない、4年に一度の台湾総統選(2024年1月13日)が実施された重要な年です。この時期、本学ゆかりの台湾をめぐる国際情勢を学ぶことは、学生にとって非常に有意義であると考え、今回ゼミで海外研修を実施いたしました。
今回行われた研修では、
①現地の台湾人教職員や、駐在する日本人専門家からお話を伺う【研修】
②施設の見学や体験を通じて学ぶ【見学】
③観光政策や国際交流について学ぶ【観光】
の3つを教育の柱として実施されました。

【研修】

1.日本台湾交流協会台北事務所(注:国交のない台湾における、大使館に準じる機関です)
日本台湾交流協会では、総統選の結果を踏まえ、台湾の外交、経済、政治についての講義を受けました。台北事務所の早川友久氏(新聞文化部文化室長)、滝川裕史氏(総務部渉外室長)には大変お世話になりました
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ご講義いただいた滝川室長とともに
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日本台湾交流協会台北事務所前にて
2.国立台湾政治大学
国立台湾政治大学は台湾でもトップレベルの大学です。これに所属する国家発展研究所で研究を続けておられる、本学部卒業生の井田輝男研究員から講義を受けました。また、我々の来訪を研究所長の劉暁鵬教授が歓迎(英語)してくださいました。在学生にとって、世界で活躍する卒業生の存在は大変刺激になりました。
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研究所長の劉暁鵬教授(左端)、井田輝男研究員(右端)とともに
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世界が注視する台湾情勢の講義を聞く学生たち
3.国立台湾大学
国立台湾大学では、開放されている磯永吉(いそ・えいきち)先生の研究所跡(通称「磯小屋」)を見学し、専門家から英語での説明を受けました。磯永吉先生は、台湾において蓬莱米(ほうらいまい)と呼ばれる短粒種のお米の開発、普及を末永仁(すえなが・めぐむ)先生とともに行いました。現在、蓬莱米は台湾を代表するビール「台湾啤酒」にも使われています。胸像は2023年に亡くなられた実業家、許文龍氏によるもので、同氏は本学に後藤新平先生、新渡戸稲造先生の胸像もご寄付されており、本学とのご縁を感じました。

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国立台湾大学にある、「磯小屋」の前にて
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磯永吉先生、末永仁先生の胸像前にて

【見学】

1.烏山頭ダムと八田與一記念公園、資料館の見学
台北市から新幹線で嘉義市まで行き、交通機関を乗り継いで烏山頭(うさんとう)ダムを見学しました。ダム周辺には資料館もあり、英語での説明も受けました。また、八田先生の住居跡も再現されており、往時をしのぶことができました。訪問時期が田植えと重なり、八田與一先生がその生涯をかけ造られた烏山頭ダムが、いまも台湾の大地を潤し続けていることを実感できました。
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八田與一先生の銅像の前にて
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烏山頭ダムのダム湖を背に「臥堤迎暉の碑」の前にて
2.四四南村眷村文物館と寶蔵巌国際藝術村の見学
 台北のランドマーク・タワーである「台北101」の近くには眷村(けんそん)の歴史を知る文化施設があります。っそれが、四四南村眷村文物館です。眷村とは、台湾において1945年以降に中国本土から渡ってきた外省人が居住する地区で、台湾文化を知る上で極めて重要です。寶蔵巌(ほうぞうがん)国際藝術村も眷村の一つですが、近年、新進気鋭の芸術家が集まる地区に生まれ変わりました。まだガイドブックにはあまり紹介されていませんが、お洒落なカフェは住民の生活と結びついており、台湾文化を身近に感じることができました。
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四四南村眷村文物館まえにて
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寶蔵巌国際藝術村のカフェで

【観光】

十分でのランタン上げ体験と九份の視察
(シーフェン)は台北市内から2時間弱の山間の街ですが、願いを書いたランタン上げを体験できることもあって、多くの外国人観光客が観光バスでやってきます。店員はみな写真や動画撮影に長けていて、SNSを通じたPRが功を奏している印象を受けました。
また多くの観光客が集まる九份(ジュウフェン)は、台湾映画「悲情城市」の舞台となり、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」のモデルではないかという「噂(うわさ)」もあったため、提灯が幻想的な階段の街です。ジブリ映画の「噂」については、昨年(2023年)に映画制作関係者がモデルを否定しましたが、それでも多くの日本人観光客で賑わっていました。

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ランタンに願いを込めて
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観光客で賑わう九份老街

【参加者を代表して】

成田響子(国際学科国際経済コース3年/埼玉県立松山女子高等学校出身)
今回の研修では、①総統選前後の政治情勢や、②戦前の日本人の偉業、③台湾の文化や歴史、経済、社会生活などについて、知識だけでなく、感覚的にも理解することができたことが最大の収穫となりました。日本台湾交流協会の職員、国立台湾政治大学で研究されている先輩からのレクチャーでは、総統選期間中の世論の変化や、「台湾有事」に対する現地の反応など、ネットからでは得られない貴重な情報を得ることができました。
また、台南に向かう車窓からは、彼方まで広がる水田地帯を目の当たりにし、八田與一先生の偉業に衝撃を受けましたし、台湾大学の「磯小屋」では、磯永吉先生、末永仁先生の研究に対する情熱と、今なお彼らを敬愛する台湾の人々の想いを強く感じとることもでき、言い知れぬ誇りを感じました。
宝蔵巌国際藝術村のカフェでは、珈琲の湯気の向こうに息づく庶民の生活を垣間見ることもできました。このような貴重な研修機会を頂けたこと、ご協力いただきました皆様に感謝申し上げます。
 文責:茂木 創(国際学部教授)