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2019年09月27日NEWS

岡田ゼミ生、四川・雲南を行く―急速に進む震災復興とキャッシュレス「旅行革命」

岡田ゼミでは、毎年ゼミ生で話し合い、海外研修旅行を企画していますが、今年は9月1日から12日まで、中国の四川省と雲南省を訪問しました。主な目的は以下の4点です。
1.2008年5月に発生した四川大地震から10年余りが経過しているが、地震被害の状況、その後の復興状況、防災対策の変化などを学ぶ。また現地の大学生との交流も行い、防災意識等に関する日中の比較を行う。
2.中国における世界遺産(都江堰、パンダ保護区、麗江古城)等を通じた観光開発の現状を学ぶ。
3.中国の少数民族地区(チベット族、白族、納西族、イ族など)等の社会、文化、歴史等を学ぶ。
4.中国の経済社会インフラ(高速鉄道、道路、空港など)の発展状況を学ぶ。

ゼミ生は成都→綿陽市北川県(被災地)→都江堰→成都→昆明→大理→麗江→昆明を移動しつつ、多彩な視察を行いましたが、このうち今回特に印象深かったのは、地元大学院生との交流も行った四川(汶川)大地震の被災地訪問でした。
 今回、被災地を案内・説明していただいた顧林生先生は、日本で博士号を取得された後、地域開発や防災等の調査研究に長く携わってこられ、現在四川省党校の「汶川地震災害対策研究・研修センター」学術主任、西南科技大学客員教授として、地震復興と防災研究・教育の最前線にいらっしゃる方です。
 今回の岡田ゼミ訪問は、「中日学生汶川地震災害復興・防災教育交流プログラム」の一環として受け入れていただき、西南科技大学大学院の都市計画専攻の学生7名とともに、被災地の廃墟がそのまま保存されている「旧北川県市街遺跡」、「汶川特大地震記念館」、総合減災モデルコミュニティ(社区)を訪問。また約9万人の犠牲者を出した四川(汶川)大地震を記憶に刻むメモリアルパークで、日中の学生合同で花を手向け、追悼を行いました。

20190927_IS_news_1地震で損壊した建物群が保存されています

地震で損壊した建物群が保存されています

20190927_IS_news_2犠牲者を追悼するモニュメント

犠牲者を追悼するモニュメント

20190927_IS_news_3日中学生が一緒に追悼しました

日中学生が一緒に追悼しました
汶川特大地震記念館では、実際に被災した方から生々しいお話を聞くことができました。当時、北川高校3年生だった曽華軍さんは、5階建ての校舎の4階で授業を受けていましたが、凄まじい地震波で机がジャンプするような状況の中、瞬く間に校舎の1階と2階が押しつぶされてしまい、3階が1階に、4階が2階に・・・。1階と2階で授業を受けていた学生を救うため、無事だった男子学生たちは瓦礫を素手で掘り起こす作業を深夜まで続けたそうです。北川高校では教職員約2,800名のうち約600人が犠牲になり、廃墟となった校舎は現在も当時のまま保存されています。

20190927_IS_news_4被災経験者から直接お話をうかがうことができました

被災経験者から直接お話をうかがうことができました

20190927_IS_news_5地震記念館前で西南科技大学の学生とともに

地震記念館前で西南科技大学の学生とともに
その後、「北川応急産業インキュベーター(孵化器)」ビル会議室で、日中ワークショップを行いました。
ワークショップでは、顧先生から四川大地震の被災と復興状況についてのレクチャーを受けた後、TVT(Takushoku Volunteer Team)代表でもある岡田ゼミの土田航平君から、東日本大震災の状況と、それを契機に発足したTVTの活動状況についてプレゼンテーションを実施。中国側から、被災地とラオスを結ぶフェアトレード活動に高い関心が寄せられました。

20190927_IS_news_6西南科技大学学生とのワークショップでTVTの活動を報告する土田航平君と通訳を担当した陳誠君

西南科技大学学生とのワークショップでTVTの活動を報告する土田航平君と通訳を担当した陳誠君
この活動については、その後西南科技大学のホームページに写真入りで記事が掲載されました。また、日中の学生間でwechatアドレスを交換し、SNSを通じた交流が始まっています。Wechatの「朋友圏(自分で投稿した記事を 友達同士で共有しあう機能)」には、参加者のコメントが掲載され、岡田ゼミ学生代表として田根馨さんと陳誠君、引率教員のコメントも中国語に翻訳され掲載されました。
  今回の研修旅行のもう一つのハイライトは、中国の「世界遺産」を巡り、観光開発の現状を把握することです。ゼミ生は、四川省の「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」、「都江堰」(紀元前3世紀に建設された巨大水利施設)や、雲南省の少数民族地域にある「麗江古城」を踏査。その他、唐代の詩人・杜甫が暮らした「杜甫草堂」や「大理古城」など中国の古い文化遺産を満喫しました。

20190927_IS_news_7成都パンダ繁育研究基地にて 生後2ヵ月の赤ちゃんパンダ

成都パンダ繁育研究基地にて 生後2ヵ月の赤ちゃんパンダ

20190927_IS_news_8紀元前3世紀に建設された巨大水利施設:都江堰

紀元前3世紀に建設された巨大水利施設:都江堰

20190927_IS_news_9大理古城前で全員集合

大理古城前で全員集合

20190927_IS_news_10美しい麗江の夜景

美しい麗江の夜景
ゼミ生から驚嘆の声があがったのは、中国の「キャッシュレス化」の進展でした。今回は旅行社を通さず、航空券・ホテル・高速鉄道の予約・支払いはすべてゼミ生がインターネットを通じて行いました。現地到着後も、空港から市内への移動や観光地間の移動はすべてスマホのアプリで車を手配・支払いを行いましたが、中国版GPS(北斗)を使い、迎えに来る時間や車の位置がスマホで精確にわかります。レストランの選択、支払いもすべてスマホ。旅行中、現金を使ったのは日本人学生個人のお土産と飲み物くらいで、公園の池の鯉にあげるエサを売っている小さな台にまでQRコードが置いてあり、中国人はいまや財布を持ち歩かないのが普通になっている実態を目の当たりにしました。

20190927_IS_news_11シェアサイクルを実体験

シェアサイクルを実体験

20190927_IS_news_12目的地で乗り捨てると、スマホで自動的に精算できます

目的地で乗り捨てると、スマホで自動的に精算できます
今回の海外研修を通じて実感したのは、中国の「スピード感」です。前述のように、四川大地震の被災地は2年半で新しい街づくりを進め、住民はとっくに新しいマンション群に移転を完了していました。以前はバスでガタガタ道を何時間もかけてようやく辿りついた世界遺産の観光地は、いまや高速鉄道ネットワークでつながり、新しい空港もできています。悪評高かったトイレも、すっかり新しい清潔なものに変貌しています。交通・レストランの手配や支払いはすべてスマホを通じたキャッシュレスが当たり前。観光地の道案内もすべてスマホのアプリがやってくれます。まさに「旅行革命」が起きているといっても過言ではないように思えた今回の中国行でした。
(文責:国際学部教授 岡田 実)

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