HOME学部の教育教員紹介 竹下 幸治郎 准教授

ラテンアメリカを様々な角度から斬る

takeshita

竹下 幸治郎 准教授

上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒。日本貿易振興機構(ジェトロ)にてブラジル、チリ駐在、中南米経済の調査や戦略部門での勤務経験を経て、2019年から拓殖大学国際学部へ。ラテンアメリカ、特に南米経済、企業経営戦略、通商政策などを専門とする。

インタビュー

  • Q
    どんな学生時代を過ごされていたのですか?
  • A
    自分の視野を広げることに主眼を置いて、とにかく高校生までと違うことをやろうと思っていました。中学、高校とラグビー漬けの毎日でしたが、大学ではそれまで全く縁のなかった中南米音楽のサークルに入り、まったく性格・趣味の異なる学生たちと付き合ってみました。アルバイトも単にお金を稼ぐだけではなく、いろんな体験をしたかったので、予備校の学生寮管理、ライブハウスのホール、交通量調査、女性雑誌の統計整理、イベント警備、郵便局の仕分け、旧国立競技場の清掃、夏祭り出演(サンバ演奏)など面白そうなものを手当たり次第やりましたね。そして長期休みは必ず開発途上国をバックパック担いで1月以上一人旅していました。行き先は、東南アジア、南アジア、中東、アフリカなどの途上国でした。アルバイト先や旅先で様々な趣味、考え、個性、国籍の人たちとの交流を通じて、様々な価値観に触れ、自分を見つめ直すことの多い学生時代でした。
  • Q
    国際関係の仕事に就かれたのもそういう経験が影響しているのですか?
  • A
    そうです。旅先で現地の方から「先進国の援助には感謝しているけど、本当は自分で稼いで家族を養いたい」と聞き、初めて企業の果たす社会的役割に気が付きました。それまでは企業活動がもたらす環境やコミュニティへの負のインパクトをゼミで議論することが多かったのですけどね。その後いつしか現地に雇用をもたらす仕事がしたい、そしてその仕事を通じて旅で世話になった途上国の方々に恩返しをしたい、と思うようになったのです。海外市場の活路を求める日本企業の支援を行うジェトロに入り、現地に雇用を生むようなお手伝いができたのは幸運でした。
    1998年から満を持してブラジルのサンパウロに駐在し、そこから退職まで殆どの期間、ラテンアメリカ関連の業務を担当しました。サンパウロ駐在時は、ブラジル通貨危機が発生しました。経済混乱からの回復プロセスをつぶさに観察し、数多くのレポートを書きました。同じ南米でも先進的なチリですが、2010年2月に発生したM8.5 の大地震の際に防災インフラの脆弱さを目の当たりにし、日本の防災技術移転の仕事を新たに創りました。数えきれないほどの日本企業の訪問も受け、現地の貿易投資環境の説明などをやりました。東京本部では、中南米全体の戦略を立てたり、総理の中南米外遊の際の経済セミナー運営企画などの仕事を任されたりしました。ほんとに様々な業種、いろんな国々の企業関係者や要人とお会いさせていただきましたね。生産現場もみるのが好きで多くの工場、農地を視察しました。
  • Q
    国際学部ではどんな授業をしているのですか?
  • A
    アクションラーニングを織り交ぜた授業を心がけています。学生時代や前職での勤務を通じ、ラテンアメリカの様々な立場の人たちと付き合ってきたので、同じテーマについても立場や時代が違えば見える風景が全然違うことを私は知っています。そのため授業では「当事者目線に立ってみる」ことをよくやります。為政者側、企業側、庶民側それぞれの視点で考えてみるということです。
    SNS全盛の時代で皆、自分と主義主張が似ている人からの情報のみをインプットしています。これは非常に危険なことです。自分と立場が異なる人の目からみると、同じテーマでもとらえ方が違うということを知らない人ばかりになると社会は不安定化します。「人はそれぞれ感じ方、考えが違うんだ」ということを体感することは、今の学生には必要なことだと思っています。
    また、いろんな形で自分の考えをアウトプットすることは、記憶の定着に役立ちます。さらに、他人の話を聞きつつ、自分の主張とどう折り合いをつけるかといったスキルは、社会に出るとありとあらゆる場で使います。グループワークを通して学生にはこうしたスキルを身につけられるような場を数多く経験してもらおうと思っています。そんな体験をしながら学生が。ラテンアメリカへの関心を深めてくれれば嬉しいですね。また、ラテンアメリカで起きたことは、他の地域で起きたことと共通する部分も多いので、受講学生が学習内容をふまえて、世界情勢を分析できるようになれるといいなあと思います。
  • Q
    先生がラテンアメリカで今、最も注目していることは何でしょう?
  • A
    新しい時代を「開拓する」スタートアップ企業です。彼らが「社会課題を解決するソリューション」を世の中に提案し始めているのに注目し、今後の研究テーマに据えようと思っています。ひどい治安、所得格差に根差した教育、医療の格差などラテンアメリカには多くの社会課題がありますが、これを新たなビジネスモデルで解決しようという民間部門の動きは、予算不足で十分な公的サービスができない政府の役割を一部代替しつつあるという意味でも大変興味深いです。実は日本企業でもそうした課題解決のソリューションをもった企業がすでにラテンアメリカに進出を始めているんです。そうした最新の動きも授業では伝えていきます。

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