HOME学部の教育教員紹介 柳原 透 教授

どうしたら世界から貧困をなくせるのか、
という大問題に取り組む

柳原-透

柳原 透 教授

1971年東京大学教養学科卒業、1976年イェール大学大学院修了。アジア経済研究所、法政大学教授などを経て、2000年より拓殖大学国際開発学部教授。

インタビュー

  • Q
    先生は大学時代にどのような学生生活を送られていましたか。
  • A
    最初は理科に入り物理化学を専攻しました。化学現象の背後にある理屈を物理学の理論を用いて解明する、というようなことに関心がありました。3年生のときに大学では学生がストライキに入り、しばらく大学へは行きませんでした。ストライキ中はいろいろなアルバイトをして社会をのぞき見していました。時間だけはいやというほどあったので、旅行や山登りをし、たくさん本を読み人生についてあれこれ考えました。また、ビートルズなどに入れ込んで、英語の歌を何百曲か歌えるようになりました。ストライキの後は同じことをまたする気にならず、かといって大学をやめる気もなく、たまたま受け入れてくれた学科で統計学の基本を勉強し直しました。
  • Q
    そのような学生生活を送っていて、なぜ研究者として大学院進学を志すようになったのですか。
  • A
    就職活動をしないでいたらだんだん心細くなり、11月頃にまだ採用している団体の中にアジア経済研究所があったので受験しました。そこには統計部があったので、統計の仕事に就くつもりでした。入所したら、意外にも、統計部ではなく経済成長調査部に配属になりました。そこでは、新人として研究会の運営のお手伝いをすることが仕事でした。先輩達が勉強会を頻繁に開いており、また、一橋大学の開発経済学のゼミにも毎週参加しました。というように経済の勉強をする機会はあったのですが、同時に経済学の体系立った訓練を受けたいという気持を強く感じるようになり、休職して米国イェール大学の大学院で学ぶことにしました。
  • Q
    大学院進学後は何をなさっていましたか。また、そこで人生の転機となるような出来事がありましたか。
  • A
    大学院での勉強はこの上なく効率のよいものでした。ゼロから始めてあっという間に研究の最前線まで来ているという感激を味わいました。アジア経済研究所復職後は、しばらくはアジア経済の将来の予測を担当しました。その後、通産省(現在は経産省)や経済企画庁(現在は内閣府の一部)の仕事を主に担当しました。そこでは、政策立案のためにお役所が求めるものと研究所として提供できるものを付き合わせながら、実行可能な最善の妥協点を見出すことが仕事でした。その他に、「日本貿易振興会(現在は日本貿易振興機構JETRO)」や「国際金融情報センター(JCIF)」などのさまざまな研究会にも参加しました。ピーク時には、24の仕事を同時進行させていました。年度末の報告書作成の時期や会議前には、お役所の人たちと毎晩夜中まで議論や作業をしたことを懐かしく思い出します。1980年代の前半に多くの発展途上国が債務危機(外国から借りたお金を返せない状態)に陥り、その関係でメキシコやペルーなど中南米の国々との縁ができました。仕事としては経済の見通しを立てることが中心だったのですが、街並みや人々の生活に見え隠れする歴史や文化に触れる中で、ラテン風の生き方がじわじわとしみ込んできました。

    国際学部で教え始めたのは、5年前。それまで30年近く国際協力の仕事に従事していたことになりますね。

  • Q
    先生が拓殖大学国際(開発)学部に赴任することになった状況についてお話いただけますか。
  • A
    1990年に法政大学経済学部教授として招かれ、拓大八王子キャンパスのすぐそばで教職につきました。ほぼ10年経ったころ、渡辺利夫先生(現在は本学学長)から国際開発学部開設に当たってお招きをいただき、先生の使命感と熱意に感銘を覚えお受けしました。この学部の開設は拓殖大学ならではの創立100周年記念事業であり、大きな意義を持つ出来事でした。
  • Q
    現在のご専門・研究内容についてわかりやすく説明してください。
  • A
    どうしたら世界から貧困をなくせるのか、貧しいとしても少しでも良い生活はどうしたら実現できるのか、といった大問題に取り組んでいます。ゼミもこのテーマです。貧困解消や生活向上に向けて、各国政府、国際機関、NGOなどがさまざまな活動をしています。世界中の経験や教訓を学び、適切に評価しまた活用することを、主な課題としています。特に、中南米の先住民の生活向上を実現するための支援について詳しく検討しています。
  • Q
    その専門分野で現在取り組んでいる具体的なテーマはどのようなものですか。
  • A
    戦後日本の農村での「生活改善運動」に大きな関心を持っています。日々の仕事に追いまくられていた農家の主婦が、お互いに励まし合って、できることから生活の改善を実現し、そのことで自らの力を実感し次々と改善に取り組んでいった、という経験です。そこからは、「生活を大事にする気持があれば、お金はなくても生活を良くすることはできる」という教訓を得ることができます。
  • Q
    これから国際学部に入学を希望している学生、とりわけ先生の授業を受講する学生に伝えたいこと、訴えたいことは何でしょうか?
  • A
    みんなちがってみんないい。国際学部はそんな学部です。好きなことやりたいことがはっきりしている人は、早速に取りかかりましょう。そうでない人は、自分のいいところを伸ばしていけるよう、何が自分には合っているのかを知るため、いろいろなことを試みましょう。そして、一生にわたってやりたいことをちゃんとできるようになるために、大学時代にしっかり準備をしましょう。私たち教員も、上級生も、皆さんを応援します。

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