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日本固有の身体運動文化、武道(BUDO)で世界へ

佐藤-伸一郎

佐藤 伸一郎 教授

1990年筑波大学大学院修士課程修了、そのまま筑波大学準研究員を5年やり、1995年北海道の道都大学の専任講師として奉職。2000年より拓殖大学柔道部の監督として東京に出てきました。2017年から国際学部の教員へ。

インタビュー

  • Q
    先生のことについて教えてください。
  • A
    学生時代
    大学にはスポーツ推薦で入学しました。大学の専攻は第一専攻が「柔道」、第二専攻が「柔道方法論」でしたから、大学には柔道をしにいったようなものです。しかし、田舎の進学校出のプライドだけは高く、世間知らずでしたから、「大学柔道だって何とかなるだろう」と高をくくっていたら、おもちゃのように投げられて、押さえ込まれて、関節技を極められて、首を絞められて落ちる(気絶することです)。最初の二年間は「あー、今日も何とか生きのびた」と息も絶え絶えな状況が続きました。レベルが違いすぎて、何をどうやってもどうにもならない、そういう世界があるのだなあということを初めて知りました。しかしこの強烈な経験は私にとってはその後に柔道を仕事にするまでになる原体験となりましたし、絶対に必要なものだったと思います。最初に一度、鼻っ柱を徹底的にへし折られることが次へのステップになり、自分のモチベーションを高めるきっかけにもなったということです。
     
    鍛える時代(競技の終わりとコーチング)
    個人、団体ともに学生チャンピオンにはなれましたが、まだ選手を継続したいという気持ちと将来大学教員にという希望の二つを満たすためにそのまま母校の修士課程に進みました。専攻は「コーチ学」です。二年間でしたが柔道と修士論文以外は何もやっていないくらい没頭しましたが、シニアの大会ではソウルオリンピック最終選考会3位が最高の成績でした。その後は幸いなことに筑波大学の柔道研究室に準研究員(助手のようなもの)の空きが出たので5年間勤めました。そこでの仕事は、三人の柔道教員の助手、柔道部のコーチ、4年生と大学院生の論文指導、柔道部OB会の事務局、といったまあ何でも屋です。先生方の様々な雑務と学生に対して論文指導をさせてもらったことはその後の大学教員として大いに役に立ちましたし、筑波大学の柔道部には高校時代に優秀な実績を持った後輩が大勢入学してきたので、大学院で学んだことを実際に後輩たちに対して教えることができ、彼らがよい成績を残してくれたのは得がたいコーチングの経験となりました。
     
    北海道時代
    筑波大学に5年勤めてから恩師の紹介で柔道部の強化をしたいということで、北海道の道都大学の教員として赴任しました。そこで初めて自分のチームを自分で作る経験をしました。それまで学んだことを発揮できる場所を与えてもらったので毎日が楽しかったですね。
    北海道では常に一番の成績でしたが、恩師と拓殖大学柔道部OBの方が懇意で、監督をやらないかと声をかけていただき上京することにしました。
     
    柔道一流選手と研究
    大学院生の頃から現在まで、全日本柔道連盟の強化委員会「科学研究部」に所属しています。これはナショナルチームの選手を科学的にサポートするために作られた部局です。ここがきっかけで日本オリンピック協会のトレーニングドクターや専任の情報戦略担当官をさせていただきました。北京五輪では、国際大会において全試合映像を撮影し、それを即時にコーチや選手にフィードバックするシステム開発を行いました。
    北京オリンピック前は8mmテープが主流でカウンター表をつけながらバッテリーの充電をしながら二試合場を同時に撮影しながらコーチや選手の見たい映像のリクエストに応えるといった一人五役くらいできないと勤まらない仕事で、海外に行くとずっと睡眠時間がとれずに地獄のような日々を過ごしたことを思い出します。一人で一ヶ月四カ国を回った経験もあります。そしてそういう仕事をしている連中が各国にいて、お互いに協力体制を作って仕事をやったものです。今でも彼らとはつながっています。
    現在は科学研究部部長という立場になったのでプロジェクトの取りまとめや人員配置等の仕事をしています。
     
    海外柔道指導
    毎年のように海外へ柔道の指導にも派遣されています。ヨルダンやインドネシアに派遣されたときには大学院の同級生が先方の受け入れ責任者だったり、パプアニューギニアに派遣されたときには先方の柔道連盟会長が後輩の教え子だったり、案外柔道界は狭かったりするのですが、それはすべて筑波大学で作った人脈と経験があってこそのものです。
  • Q
    これから国際学部に入学を希望する学生、とりわけ先生の授業を受講する学生に伝えたいことは?
  • A
    学生時代はホンモノに出会う時代です。ホンモノと接触をして今までの自分は何もわかってないし何もできてなかったのだなあと落ち込む時代でもあります。しかし、それは次なる飛躍のための雌伏です。蝶になるための蛹です。ホンモノになるための儀式のようなものです。ホンモノにぶつかってけちなプライドを一度砕け散らせ、そこから再構築しホンモノの力をつけていきましょう。自らがホンモノになるために。恐れることはありません。こちらへ飛び込んでくることを待っています。

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