HOME学部の教育教員紹介 甲斐 信好 教授

優れた政治家と同時に優れた国民(有権者)も育てたい

甲斐-信好

甲斐 信好 教授

大学卒業後、松下政経塾に(第3期生。1982~1987年)。その後、自由社会フォーラム研究員、松下政経塾・研修主担当などを歴任。2001年に東京工業大学大学院社会理工学研究科後期課程を修了。

インタビュー

  • Q
    先生は大学時代にどのような学生生活を送られていましたか。
  • A
    うーうーうーうっ(と七転八倒)。実は、ゼミ以外はほとんど大学の授業に参加しないサボり学生でした(笑)。ただ、ゼミ(細谷千博先生:国際関係論)にだけは熱心に参加しました。ゼミの幹事をつとめる他、慶応大学や明治大学など東京の十の大学で、国際関係・国際政治を勉強するフォーラムに参画しました。このフォーラムは現在も「十大学セミナー」として継続されており、他大学の仲間とも交流が続いていて、私の貴重な宝物です。
  • Q
    そのような学生生活を送っていて、どうして松下政経塾に入ることになったのですか?
  • A
    実は、大学院に行こうか、鉄道会社に就職しようか迷っていました。ある私鉄会社からは内定をもらっていたのですが、当時の国鉄(現在のJR)は改革の末期で文系大卒の採用はほとんどありませんでした。中途半端な気持ちだった大学4年のある日、就職課の前に「松下政経塾」のパンフレットがおいてありました。政経塾はまだ出来たばかりで、文字通り「海のものとも山のものともわからない」状態でした(実際、「10年持たないよ」と言うマスコミ関係者もいました)。でも、「未知数」の魅力と、松下幸之助さんという人への信頼から、応募を決心しました。もしあの出会いがなかったら、拓大へのご縁もなく、今は関西で私鉄の駅員さんをやりながら、それはそれで幸せな生活をしていたでしょう(笑)。人生、ほんとうにどこでどうなるかわかりません。面白いですね。
  • Q
    松下政経塾での特筆すべきエピソードが何かあれば教えてください。
  • A
    松下政経塾で、また国会議員の政策スタッフとして、政治の世界でさまざまなものを見てきました。痛感したのは、「ルールは、ルールを作る人間に都合よく作られる」という冷徹な事実です。世の中の仕組みがどうなっているか、ニュースで報道されているものの裏に何があるのか、それを知らないと一生利用されるだけになってしまいます。政治を勉強することは、何よりもまず自分が「生き残る」ために必要なことだと思っています。当たり前の話ですが、政治は人間がやるものです。矛盾した人間がやるのだから政治も矛盾だらけです。人間の一番美しい部分も、目をそむけたくなる醜い部分も出てきます。その矛盾に耐えられること。政治学は人間学です。
  • Q
    拓殖大学国際(開発)学部に赴任することになった理由、状況についてお話いただけますか?
  • A
    社会人学生として大学院(東京工業大学社会理工学研究科)で博士論文を見ていただいた渡辺利夫先生(現・拓殖大学学長)が、「拓大に面白い学部を創るのだけれど、一緒に来るか?」と誘ってくださいました。昔から、「大学の教壇に立ちたい」という憧れがあったので、即座に「行きます!連れて行ってください!」と(笑)。本当によいご縁をいただいたな、と思っています。
  • Q
    現在、関心を持たれている研究内容、テーマは何ですか?
  • A
    松下政経塾の「塾是」(塾の基本理念)に、「人類の繁栄幸福と世界の平和に貢献しよう」という一節があります。そんな大上段な目標でなくても、何か、世の中のために役に立ちたい、またそんな人を育てたい、と思っています。私がテーマにしているのは「民主化」です。デモクラシーとは、国民が公平・公正な選挙で政治家を選ぶ仕組みのことです。デモクラシーの社会では国民と政治家は車の両輪です。どちらかだけが優れている、ということはありません。政治学を学ぶことによって、またゼミやさまざまな活動を通して、優れた政治家と同時に優れた国民(有権者)を育てることが、私の使命だと思っています。
  • Q
    タイにもお詳しいですね。
  • A
    私は二十代にタイという国で生活しました。大らかでちょっといい加減で、それでいてしたたかなタイが大好きです。タイ王国タマサート大学日本研究センターの客員研究員をしたこともあります。タイは第2の母国だと思っています!国際学部では、政治関係の他に、「タイの歴史と文化」「タイの政治と経済」という授業を担当しています。目的はずばり「タイを好きになること」。タイに行ったことがある人はますます好きに、行ったことがない人はぜひ行きたくなるような、そんな授業を目指しています。好きな人が多いほうが毎日は豊かです。同じように、好きな国が多いほうが人生は楽しいですよ。
  • Q
    これから国際学部に入学を希望している学生に伝えたいこと、訴えたいことは何でしょうか?
  • A
    ここ数年、夏休みに学生とアフリカを訪れています。サハラ砂漠以南は、所得が日本の100分の一以下、というような国が多い。水道や電気も十分に届いては居ません。日本なら小学校に入ったばかり位の子供たちが、時には数キロかかる井戸までポリ容器を持って水を汲みに行きます。その姿に、日本人学生も胸を打たれるようです。「先生、生きていくって大変なことなんだね」ともらしたのが印象的でした。日本に帰ってくると、あまりの物の多さ、豊かさに目が回りそうになります。デパ地下に行けばありとあらゆる食べ物が豊富に並び、お店は清潔でサービスもよい。戦いや貧しさ、危険の中で暮らしている人たちから見たら、60年以上平和の続いている日本は、それだけでパラダイスです。なのに、日本は「不幸だ」「つまらない」「かったるい」と言う人がいます。その原因は、「日本人は自分のことしか考えていない」からではないかと思っています。どんなに恵まれていても、自分のことしか考えていない人間は幸せになれません。なぜならば、自分中心で他人と比較している限り、これも欲しい、あれも足りない、になってしまうから。拓殖大学は、公に生き、公に奉仕する人を育ててきました。自分以外の何者かのために力を使うことによって、人ははじめて誇りを手にします。そのような誇りのある学生生活を送ってください。
  • Q
    最後に一言を。
  • A
    いろいろ言いましたが、楽しくなければ何事も続きません。「楽しい」ことには限りがありますが(ディズニーランドだって、何度も行くと飽きてくるでしょう?)自分で「楽しむ」ことには限りがありません。国際学部にはチャンスが石ころのようにころがっています。積極的に働きかけて、充実した学生生活にしていきましょう。

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