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発展途上国の都市化と都市問題に関心

新田-目夏実

新田目 夏実 教授

筑波大学大学院地域研究科東南アジアコース終了。民間の都市地域計画のコンサルティング企業で働いた後、米国のシカゴ大学でPh.D(社会学博士)取得、ルイジアナ州立大学でさらに教育研究に従事。通算10年間米国で学ぶ。1998年から四国学院大学社会学部。2003年から国際学部へ。

インタビュー

  • Q
    先生は大学時代にどのような学生生活を送られていましたか?
  • A
    とても忙しい大学生活でした。1年生のときはほとんど英語しか勉強していなかったような気がします。私のいた大学(ICU)は3学期制の大学(春、秋、冬学期)で、春は4月から7月、秋は9月から11月、冬は12月から二月末まで授業があります。そのため、1年中、授業に出席し、レポートを書き、プレゼンテーションを行い、試験を受けていたような気がします。専門としては、社会学・人類学を勉強しました。大学3年のときに、フィリピンアテネオ・デ・マニラ大学に1年間交換留学しました。寮に住みフィリピン人の友達がたくさんできました。日本では想像もつかないような、貧困や都市問題を目の当たりにしたのもこのときです。留学中は、フィリピン語に加え、社会学・人類学を勉強しました。大学時代はバレーボール部だったので、バレーボールクラブに入り、日本のバレーボール協会から取り寄せた英文指導書を手に、フィリピン人のコーチと一緒に、地方まで、バレーボールを教えに行ったこともあります。
  • Q
    なぜ研究者として大学院進学を志すようになったのですか?
  • A
    ICU卒業後、東南アジアについてさらに勉強したく、筑波大学大学院地域研究科東南アジアコース修士課程に進学しました。そこで出会い指導を受けたのが、拓殖大学の学長である渡辺利夫先生(当時筑波大学)です。筑波大学の修士課程終了後、民間のコンサルティング企業に就職しました。

    研究者として仕事をするためには博士課程程度の学歴が必要ですが、筑波大学の大学院には修士課程しかありませんでした。そのため、他の大学に進学するか、就職するか本当に悩んでいました。そのときに、渡辺先生が「新田目君、勉強だけが人生じゃないよ」とおっしゃったのです。迷いながらもこ、民間企業に就職したのはそのためです。

    就職先としては、私の関心に関係のある途上国の都市地域開発をおこなうコンサルティング企業に就職しました。在職中は、主に中近東のイラクのバグダッド首都圏総合開発計画に参加し、社会開発計画の策定に参加しました。その間二年半はバクダッド市に住んでいました。イランーイラク戦争が段々と激しくなってきた時期で、なんべんか危険な目にもあいました。戦争さえなければ、4大文明の発祥地であり、古都であり、文化遺産の豊富でかつ活気のあるすてきな街です。平和の大切さを痛感しました。

    バクダッドでたくさん面白い仕事をしました。都市計画を策定するためには、住民の実態調査を行う必要があり、また将来の都市人口を予測する必要があります。会社には人口分析の専門家がいなかったため、国連人口部の専門家を短期間招聘しました。私は彼の助手を務めました。社会学に加え人口学に関する関心と知識を持つようになったのはこのときからです。また、実際の業務を通じて自分の専門知識が足りないこと、また、今後のキャリアアップのためには、博士号が必要であることがわかってきました。国連の専門家などとつき合っていて、国際社会は日本よりも学歴社会であること、学歴の差が給与に直結することがわかってきたのです。

    そこで退職してもう一度勉強をしなおすことにし、社会学研究のメッカであるアメリカのシカゴ大学大学院博士課程に進学しました。シカゴ大学では社会学(都市社会学、人口学専攻)で博士号を取得しました。コンピュータ分析も徹底的に勉強しました。 シカゴ大学卒業後、さらにルイジアナ州立大学社会学部で三年間研究・教育に励みました。ルイジアナ時代を含め、アメリカには丸10年滞在していたことになります。

  • Q
    拓殖大学国際(開発)学部に赴任することになった理由、状況についてお話いただけますか。
  • A
    日本に帰国して最初の職場が四国学院大学でした。帰国と前後して、実は渡辺利夫先生から拓殖大学に国際開発学部ができるという話を聞き、関心を持っていました。渡辺先生からお誘いがあったことと、四国学院大学に4年間勤め、「頃合も良い」ので、その後正式に移籍することとなりました。転職には「タイミング」というものがあります。
  • Q
    現在、関心を持たれている研究内容、テーマは何ですか。
  • A
    3つの問題に同時並行で取り組んでいます。まず第1に、発展途上国の都市化と都市問題です。発展途上国にはたくさんの貧しい人たちが住んでいます。発展途上国では、過去、子沢山の結果、人口が急速に増えましたが、その人たちの生活を支える仕事は増えませんでした。その結果たくさんの貧しい人々が生じ、多くの人々は職を求めて都市に集中しました。その結果生じたのが都市の貧困問題です。私の研究の1つは、このような途上国の都市問題の実体の把握と解決方法に関するものです。

    第2が少子高齢化問題です。少子高齢化は日本などの先進国の問題と思われるかもしれませんが、実は、中国、韓国、台湾などの東アジアでも急速に進んでいます。シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンなどの東南アジアでも徐々に問題になりつつあります。私の関心は、お年寄りの世話を誰がどのようにするかという問題です。日本では、2000年以降介護保険制度が始まり、市町村などの自治体レベルで高齢者福祉対策が始まりました。途上国ではどのような対策が可能でしょうか。フィリピン、タイ、インドネシアなどで調査を続けています。また、シンポジウムなどを通じて中国の研究者との意見交換もしています。

    最後に、日本に住む外国人が増えてきました。1980年代初頭、日本に住む外国人といえば、韓国人・朝鮮人を意味していましたが、現在では、中国人を筆頭に、韓国人・朝鮮人、ブラジル人、フィリピン人など、いろいろな国の人が住む時代になっています。文化が違う国の人が共に住むというのは大変なことです。外国人と日本人が仲良く生活できるような仕組みづくりが求められています。外国人と日本人が「共生」するまちづくりのための調査も行ないたいと考えています。

  • Q
    国際学部では何を教えていますか。
  • A
    開発社会学、人口学、都市開発を主に教えています。しかし、拓殖大学では、過去に情報処理やデータ分析のクラスを教えたこともあります。コンピュータを使った社会調査の分析は、現在ゼミで教えています。さらに、他大学では、アジアの社会と文化についても講じています。社会学、人口学に関するテーマ一般に加え、東南アジアやアメリカに関する質問にも答えることができます。
  • Q
    これから国際学部に入学を希望している学生、とりわけ先生の授業を受講する学生に伝えたいこと、訴えたいことは何でしょうか。
  • A
    明るく楽しく、悩みすぎずに、とりあえず一歩前に踏み出してみましょう。道は必ず開けます。そのようにして得た経験を、社会学理論の体系と関連づける努力をしてみてください。このようにして4年間を送ってください。入学したときは全く違う理解力と実行力をもった自分を発見することになると思います。

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